浮かんでいる風景

八太栄里/Eri Hatta 《その日》
 
八太栄里 個展 「浮かんでいる風景」
 
2019/7/20(土) – 8/9(金) 12:00-19:00  (日、月、祝 – 休廊)
オープニング・レセプション 7/20(土) 17:00-19:00
 
「浮かんでいる風景」
 
私の制作はスマホで風景を撮影することからはじまる。
日常的に何でもスマホで撮影することが当たり前になった現代の私たちはスマホを介して新しい視点を獲得した。
スマホ越しに眺める風景はデジタル処理され、実際の形とは異なる姿で私たちの目にうつる。
そこではじめて肉眼では気付きにくい風景の新たな要素を見つけることができる。
私はこの中から特に「風景の浮遊感」を感じるものを選び、集めている。
この浮遊感というのは画面の構図そのものであったり、1つの物体が放つ存在感であったり、対象はさまざまだが、
その地に長く降り積もった時間や、そこにかつていたかもしれない誰かの気配のような目に見えないものを描くときの自分なりの手がかりになっている。
例えば道端の石仏や山の形など信仰に結びついた風景も、工事現場や人気のない農機具小屋などのありふれた風景も、
そこに浮遊感を見いだすことができれば私はその土地の記憶と気配を想像し、絵画に変換することを試みる。
デジタル撮影した風景をもう一度アナログに描き起こす行為は、実際の風景の場から距離を遠のかせて、
もしくは切り離してしまい、そこに新しい時間を与えて絵画の役割を作っていくことだと考えている。
時の経過の中で風景は同じ姿で残ることはない。
現実と絵画は時間を増すごとに乖離していき、ますます描かれた風景の浮遊感は加速していく。
やがてもう現実にはどこにもない風景があちこちに宙に浮かぶことになるだろう。
作品に閉じ込められた時間と、作品が存在する時間の2つの時間軸がその土地の記憶になって紡がれていく。
−八太栄里
 
 
 
■八太 栄里 ERI HATTA
 
時の経過の中で取り残され、忘れ去られていくものが放つ存在感に注目し、
その土地の気配や記憶、そこにまつわる人の記憶や魂など、目に見えないものの形を想像し画面に現すことを目指している。
ありふれた景色を拾い、絵画として成立させることで日常の見方を変え、新たな思考を働かせるきっかけを展開する。
Artist HP : http://ellie.egoism.jp/
 
1989年 京都府亀岡市生まれ
2011年 大阪デザイナー専門学校研究科イラストレーションコース卒業

 
<個展>
2018
「忘れようとしても思い出せない」/アトリエ「空白」(大阪)
「いたかもしれない」/GALLERY SPOON(大阪)
 
2017
「気配、滅んでいくまで」/GALLERY龍屋(愛知)
「暮れる日」/AIR南山城村(京都)
「心象とドローイング」/GALLERY SPOON(大阪)
「エンドロール」/The Artcomplex Center of Tokyo(東京)
 
2016
「Missing」/芝田町画廊(大阪)
 
2015
「いつかの海のよう」/The Artcomplex Center of Tokyo(東京)
 
2014
「昨日の光-記憶のゆくえ-」/芝田町画廊(大阪)
「昨日の光」 /The Artcomplex Center of Tokyo(東京)
 

<企画展・アートフェア>
2019
ART in PARK HOTEL TOKYO 2019
 
2018
ART OSAKA 2018
神戸アートマルシェ2018
 
2017
ART NAGOYA 2017
遺され村の美術展(滋賀県大津市葛川細川集落)
ART OSAKA 2017
handpicked artists/MASATAKA CONTEMPORARY(東京)
 
2016
ART NAGOYA 2016
新、アーティスト展 VOL.4 -From West-/MASATAKA CONTEMPORARY(東京)
Japanese Women Artists/Bernarducci Meisel Gallery(ニューヨーク)
神戸アートマルシェ2016
Cute and Sweet,But…/MASATAKA CONTEMPORARY(東京)
くどやま芸術祭2016(和歌山県伊都郡九度山町)
 
2015
ART NAGOYA 2015